“異彩”(いさい)。
他とは異なる趣(おもむき)を放つ様などを示す言葉。
三重県塗装業界の中でも、ひときわ異彩を放つ会社がある。
近鉄中川原駅から徒歩3分。松本街道から北へ上がり、踏切を渡ったすぐの左手。塗装会社とは思えないシックなたたずまい。それはまるで、落ち着いた大人が集うカフェのようだ。
株式会社ビサイクラフト
ここは、同社が昨年オープンしたばかりの四日市営業所。西阿倉川にある本社は、現在は作業所として機能しており、お客様対応、打ち合わせ、事務系統の機能は、今ではこの四日市営業所に集約されている。
今回は、依頼主様に提出する各種書類作成などの営業サポート業務や、新たな見込み顧客の開拓に欠かせない、情報発信などの広報部門を担うメンバーを募集する。
同社は、建物の外壁や屋根などの塗装を請け負う住宅塗装会社だ。
家を持つ人にとって、定期的な住宅メンテナンスは必要不可欠。持ち家率の高い地方都市であれば需要も多く、その分だけ請負業者も多い。
折り込みチラシや幹線道路沿いの看板。路線バスなどの交通広告。日常生活のあらゆる場所に、同業他社の広告が掲載されている。そんな住宅塗装業界に対して、一般の人達はどんなイメージを持っているだろうか。
大きな看板に大きな文字。複数ののぼりが立ち並ぶ。
よくある景色。
※業界全体が確立してきたノウハウの蓄積であり、それを批判する意図はない。
同社は、それとは明らかに毛色が違う。他社とは違う何かがあるに違いない。
お会いするのは社長の濱口さん。
事前情報は、たたき上げの塗装職人。
そしてシックな店構え。
いったいどんな方が・・・。
こちらが濱口社長。奇麗にスーツを着こなし、清潔感がある。スマートな経営者の雰囲気に加えて、柔らかい表情と優しそうな目が安心感を与えてくれる。
経歴を伺う。
「最初はいろいろやりましたよ。焼き肉屋さんとか、建設会社の管理の仕事とか。」
いろいろな仕事を経験しながら、20歳になるころのこと。実の兄が勤めていた塗装の仕事に興味を持ち、塗装業界に入門する。
「でもこのころは、ぜんぜん真面目に働いてませんでしたね。」
決して珍しい話ではない。若いころ目的意識が持てず、仕事に打ち込めないことはよくあることだろう。今では経営者として活躍する濱口社長にも、そういう時期があったということだ。
そんな風に2年が過ぎたころ、大きな出会いが訪れる。仕事に厳しく、若い職人を束ねるのが抜群に上手い。
「はじめて尊敬できた、先輩との出会いでしたね。」
厳しくも尊敬できる親方のもとで、必死に働いたという。7年~8年くらいで現場を任され、憧れの親方の右腕にまで成長していた。
本人にとっても全く想定外だったと振り返るが、やがて自身の新しい可能性に気づくことになる。
「俺、自分で仕事取れてるぞ!」
自分派生の人脈の中から、仕事を任せてくれる人達が出てきたという。
はじめて意識した“独立”という選択肢。
そうしてむかえた平成20年6月。
一台のトラックに脚立が一台。
一人親方としてのキャリアをスタートさせた。
独立時、最初から決めていた目標があった。
「4年以内に法人化する!」
そう心に決め、毎日の仕事に打ち込んだ。
一台だった脚立が、二台、三台と増えていった。
平成24年。独立から3年目の年。目標通り法人化を果たし、会社名を株式会社ビサイクラフトとした。
ここで法人化以来使い続けている同社のロゴマークを紹介したい。
社名にも含まれる“ビサイ”の3文字。
社長の名字でも地名でもない。
美しい彩(いろどり)=美彩。
なるほど、塗装屋さんだからね!
そんな声が聞こえてきそうだが、同社のビジョンはもう一歩先にある。彩ろうとしているのは、最終的には街そのものなのだ。
「塗装の仕事は、街を美しくする仕事です!」
一つ一つの仕事を見れば、個人住宅の壁や屋根を塗ることがメインの仕事ではある。しかし、10年20年と良い仕事を積み重ねていけば、あの家もこの家も同社が塗装を手掛けたという実績であふれてくる。街そのものを彩る会社。そう呼ばれる将来を想い描いている。
ここからは、街を彩る会社になるために現状把握している課題と、今後の戦略に迫っていく。
まず、目安になる指数として下記の比率を挙げている。
7対3
古くからあらゆるものの統計に不思議と当てはまってきた、いわゆる黄金法則だ。
現状同社が請負っている仕事を、工務店等の元請け業者を挟んでの間接取引なのか、それともエンドユーザーとの直接取引なのか、という基準で比べてみるとほぼ7対3(間接:直接)の構成比であるという。目指すのは、この比率を逆転させること。つまり、エンドユーザーとの直接取引の比率を上げていきたいということだ。そのための新たな取り組み、強化していきたい具体的な施策が3つある。
①現状調査報告書の改善強化
②完了報告書の強化と完工記念プレゼント
③情報発信の強化
今回の募集は、まさにこれらを実現するためのものだ。一つずつ見ていく。
①現状調査報告書の改善強化
この書類の主な役割は、引き合いをいただいたお客様の建物の現状を確認し、最適な施工プランニングのための情報を得ることと、専門知識のないお客様に分かりやすく説明すること。そして何より、見積もり金額の根拠をより明確にすることだ。お客様の意思決定に直結する重要な要素の一つであることは、業界経験がなくても想像がつくだろう。これを改善強化しようということ。
②完了報告書の強化と完工記念プレゼント
お客様には専門知識がない。また、工事中不在にされる場合も多くある。そんなお客様に対して、具体的にどんな工事が行なわれたのかをきっちり報告することは、安心感や顧客満足度に直結する。同時に同社では住まいの塗り替えをお客様にとっての一大イベントと考えている。そのため、工事完了記念写真などのプレゼントを企画している。
安心と満足。それを思い出にしてもらおうという発想だ。
③情報発信の強化
エンドユーザーとの直接取引を増やしていくには、マーケットへの情報発信の強化は避けては通れない。ホームページやブログ等のオウンドメディアや、主要SNSなどの外部プラットフォームを生かした広報機能の充実は、特に特定の地域社会でビジネスを展開する企業にとって今後ますます重要になる課題だろう。従来からの一方通行型の広告一辺倒ではなく、ウェブ世界特有の自由な情報交流の場を上手くコントロールすることで、より説得力のある広告展開が実現する時代。
これらの施策を含め日々の業務の中で生まれるであろう新たな気付きを、自由な発想で地域社会にアウトプットしていくこと。これが新しいメンバーの一番大きなミッションのようだ。
濱口社長はいう。
「柔軟な発想と、それを行動に移す行動力。それらを併せ持った方に来てもらえるとうれしい。」
今回は、同社内では前例のない新たな役割の募集ということになる。やりがいや面白みは充分とはいえ、不安材料が多いのも事実だろう。
入社後のイメージは?
入社後は、現状調査報告書や完了報告書などの作成など既にある仕事の中で、できるものから順に覚えていけばいい。材料の手配や在庫の管理など少しずつ仕事の幅を広げていく。
もう少し先をイメージしてみる。
例えば資料の作成ができたとしたら、お客様への提出や説明の機会を得てコミュニケーションの幅を広げていくといいかもしれない。お客様との接触機会が増えれば、より分かりやすい資料にするためのアイデアや、より喜んでもらえそうな企画が思いつく可能性も高まるはずだからだ。そして、それらの気づきは全て、発信していく情報の質の向上や、より正確で効果的なマーケティング施策に生かされていくに違いない。
将来の可能性は?
現在、ほぼ三重県内だけで充分な仕事量を保有する同社だが今後の取り組みを通して直接取引のお客様の比率が上がっていけば、県内に新しい拠点を開設していく可能性も高い。そういうタイミングで各拠点の責任者のポストが生まれることは既に想定の範囲だ。また、キャリアアップを重ねたかつての濱口社長がそうであったように、自身で仕事を獲得していけるような力を身につけ独立などの新たな挑戦意欲が湧くのであれば、前向きに応援する姿勢を持つという。
先述の通り、濱口社長は現場の一職人からのたたき上げでここまできた。誠実で丁寧な仕事が、リピートや紹介などを経て最大の結果を生む好循環につながることや、この業界で仕事を獲得する難しさなど重要な要素は身を持って経験済みだ。塗装の専門家としての知識や経験、会社の経営者としてのノウハウは既に備わっている。しかし、近年のウェブ業界をはじめとする新しい情報発信ノウハウに明るいわけではない。
これは、これから加わる新しいメンバーにとって前向きな要素になるだろう。長年培ってきた塗装のプロから仕事を学びながら、時代の流れとともに生まれた前例のない新しい役割を担っていくポジションだからだ。前例がないのだから、当然そこには決められた型はない。自身の気づきと、外からの情報収集。継続的なインプットと効果的なアウトプットの繰り返し。そこで得られた成功体験の積み重ね。
目標は明確だ。
7対3の現状を、
3対7に変えること。
その先にどんな未来を想像するだろう?
地元三重県の通りを歩けば、
あそこの民家から向こうの工場まで。
お客様との思い出が蘇る。
小高い丘に登ってみれば、
街を彩っているぺインター集団の一員であることの
喜びと実感が込み上げる。
株式会社ビサイクラフト。
漢字で書くなら美彩クラフト。
まさに今、入口は開いている。
最後に、若き日の濱口社長の興味深いエピソードを一つ。
下積み時代、特に仲の良かった一人の職人が、口癖のように言っていたフレーズがあるという。
「いつかは革靴を履いて仕事がしたい。」
念の為断っておく。
決して革靴で塗装するわけではない。
当時の塗装職人の足元は、決まって地下足袋(じかたび)だった。近年ではむしろその機能性や時にはおしゃれアイテムとして見直されている側面も持つ地下足袋だが、当時の若い職人の心の奥底には社会的な立ち位置として
革靴>地下足袋
といった意識があったという。
そんな雑談をしていると、濱口社長の右腕としての活躍が期待される野村さんが撮影用の塗料缶を持って来てくださった。
記者は見た!
濱口社長の足元には、磨きあげられた革靴が光っている。
野村さんの足元にはスニーカー。
これは現代の塗装職人スタイル。
この仕事に興味があり実際に足元を見たい方は、ぜひ会社訪問してみるといいだろう。履物だけでなく、揺るぎないビジネスへの情熱と妥協なき職人のプライドを感じることができるはずだから。
新しい役割を担うあなたは何を履く?
いっそ、地下足袋で異彩を放ってみてはいかがだろうか。※注意:社長の許可は取っていない。
募集要項
職種 | 営業サポート |
---|---|
内容 | 材料の仕入れ・在庫管理、電話応対・接客対応、SNS・ブログ等の、情報発信、完了報告書の作成、プレゼント写真(竣工写真)の手配 |
条件 | 高卒以上、経験不問、要普通免許、Word・Excel等、簡単なPC操作のできる方、事務職経験者優遇 |
時間 | 8:00~17:00 |
休日 | 第1・第3土曜、日曜、祝日、GW、夏期、年末年始 |
給与 | 月給20万円〜30万円 ※業績・資格取得に応じて昇給あり |
待遇 | 各種保険完備(建設国保/厚生年金/雇用保険/労災)、年次健康診断実施、服装自由(会社規定ジャンパー支給)、 通勤費支給(上限20,000円)、車通勤可(駐車場完備)、建築関連資格取得支援(会社負担) |
会社情報
社名 | 株式会社ビサイクラフト |
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所在地 | 〒510-0833 三重県四日市市中川原3丁目6-2 マンション錦見1F |
連絡先 | 059-340-7802 |